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モノづくりだけでビジネスモデルが欠如していないか?

■モノづくりだけでビジネスモデルが欠如していないか?

 「顧客価値とは、自社がつくるモノだけで実現されているわけではない」。このことを、どれほどの技術主導のモノづくり企業が理解しているでしょうか。現実の顧客価値あるいは顧客経験価値とは、自社がつくるモノに加えて、他社が供給するモノやサービス、情報、そして顧客自身の行動や他者とのコミュニケーションなどによって創発されています。創発とは、多様な要素が連動し、常に生成・変化していくという意味です。

例えば、個人が自動車を購入・維持・利用するケースを考えてみましょう。自動車本体だけでなく、アクセサリーやメンテナンスキットの購入、任意保険の加入なども行なわれますし、給油・洗車サービス、ディーラーなどの修理サービスも利用されます。それだけでも実に様々な企業が関わっています。さらには、その自動車で通勤する・買い物に行く・キャンプに出かける、電気自動車やプラグインハイブリッド車であれば、それで自宅の電気を賄うなど、自動車の利用を通じて顧客自身も価値を創発しているのです。

多様な企業や顧客自身が顧客価値の創発に参加するとなると、モノを提供する企業にとっては、その創発の仕組みづくりを主体的に行うこと、さらにその仕組みの中で自分たちが外せない一部として機能することが大変重要となってきます。この仕組みをビジネスモデルと呼びます。簡単に表現するならば、「顧客自身を含む複数の企業・組織・人が連携して顧客価値を創発する仕組み」です。

顧客価値をつくるのはビジネスモデル

従って、革新的な顧客価値を実現するためには、ただ新技術・新製品を開発するだけではなく、顧客を含めた多様な企業・組織・人の連携を試みなければなりません。つまり技術・製品開発と並行して、またはそれらに先行させてビジネスモデル開発を行うべきなのです。

他社との連携によるビジネスモデル開発は、巻き込む対象が外部にあるため容易ではありません。業界も異なることが多いため使用する言葉や文化も異なり、当然、利害対立もしばしば起こります。

また、そのビジネスモデルの前提として、自社の製品・サービスと他社の製品・サービスとの連動のしやすさや、企業・組織が参加しやすい共通基盤(プラットフォーム)が必要になることがあります。企業や組織の壁を越えて共通プラットフォームを形成するには時間がかかり、これも簡単には行きません。

一方、このような苦労を乗り越えてビジネスモデルを構築することによって、新たに保守メンテナンスビジネスが可能になったり、他社からのプラットフォーム使用料が入ったりなど、収入源を多様化できる可能性が生まれます。最も重要なのは、顧客情報を自動的に入手できるようになる可能性でしょう。これらは、モノの供給に留まらず止まらずビジネスモデル構築も合わせて実施することがもたらす、大きなメリットと言えます。

ビジネスモデルの同時開発とは

ここまでの話で、革新的な顧客価値を実現させ、自社に有利な仕組みを構築する上でビジネスモデルがいかに重要か、ご理解いただけたと思います。しかしながら実際の現場では、技術や製品の開発だけが先行し、このビジネスモデルの開発が未着手のままであることが非常に多く見受けられます。

技術開発とモノづくりだけに固執してきた癖は、組織の上層に行くほど強く残っているものですが、まずは上層部がビジネスモデル開発の必要性を強く認識すること。そして、若いデジタルネイディブ世代にその開発を任せることがたいへん重要です。

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