コア技術戦略が明確になっているか②
■コア技術戦略とは
ここで「コア技術」とは何を指すのか、「既存技術」との対比で明確にしておきましょう。
「既存技術」とは、自社の既存ドメインを支える技術です。富士フイルムの例で言うと、かつて写真フィルムをメイン事業にしていた30年以上前の既存技術は、ベース(支持体)のセルロースアセテートやポリエステル製の「フィルム技術」、感光層(エマルジョン層)としてゼラチンの中に銀塩結晶を分散させた層を形成するための「分散技術」、保護層の感光層を傷や汚れから守る薄い「コーティング技術」などでした。
それに対して「コア技術」とは、将来の新事業ドメイン(事業領域)を支える技術、つまり「将来の製品・事業の中核にしたい技術」です。過去~現在ではなく、将来もしくは現在~将来の中核技術です。その開発においては、技術そのものを企画検討するだけでは良い答えが出ません。コア技術は、将来の新事業ドメインを前提に考えるべきです。そして、新事業ドメインはマクロトレンドの変化やその影響を受けたエコシステム・ビジネスモデル、バリューチェーン、顧客経験価値、競合などの変化を前提に構想しなければなりません。
コア技術の多くは、既存技術を新事業ドメインから再定義することによって見出されます。ただし、単純な言葉の変更や置き換えに終わってはいけません。既存技術を細分化したり、組み合わせたり、外部の技術を取り込んだり、外部の技術と融合したりするイノベーティブな変換作業が必要です。その結果、既存技術を基に再定義や変換が行われたものがコア技術となるのです。

再び富士フイルムの例で見ると、現在同社が掲げている12 のコア技術(製膜技術、精密塗布技術、機能性ポリマー、機能性分子技術、MEMS技術など)は、かつての写真フィルム事業の既存技術をイメージング、ビジネスイノベーション、ヘルスケア、マテリアルズの4つの事業ドメインの視点で再定義、変換させたものと推測されます。
