コア技術はどのように企画・構想されるのか②
■コア技術企画の3つのアプローチ
コア技術の企画は思考の幅広さと深さを必要とし、極めて難しい作業です。この作業にアプローチする方法は、大きく分けてトップダウン、ボトムアップ、トップダウン&ボトムアップの3つがあります。
①トップダウンアプローチのコア技術企画
主に経営トップと限定された技術戦略チームなどで進める方法です。まずマクロトレンドの変化を基に、エコシステム・ビジネスモデル、バリューチェーン、顧客経験価値、競合などの変化を分析して中長期の経営・事業の戦略ビジョンや新事業ドメインを構想し、その上で、新事業ドメインに必要なコア技術を企画します。経営、事業、マーケティングなどの高度な戦略思考と、全社の技術に関する広く深い知見の両方が必要です。外部コンサルタントに支援を依頼することも少なくありません。
トップダウンアプローチのメリットは、高度な知識と判断力を持つ限られたメンバーで実施するため、議論の発散が少なく効率が高いことや、理想的なアウトプットが可能になることなどです。デメリットは、完成した経営・事業戦略ビジョン、新事業ドメイン、それを支えるコア技術戦略が、現場社員にとって現実味がないものに見えてしまう可能性があることでしょう。

②ボトムアップアプローチのコア技術企画
技術開発や新製品・新事業開発、および既存事業の最前線で活躍する社員によって進める方法です。全社員を巻き込むのは難しいので、実際には選抜された社員で実施することになります。
最前線で活躍する社員は市場と近いところで仕事をしているので、市場環境の変化を直接感じとることができます。その力を活用し、将来自社が取り組むべき製品・事業のアイデアを出してもらい、それらをある程度選別した上でグルーピングし、新事業ドメイン仮説を構想します。そして、その新事業ドメイン開発に必要な技術を考えてコア技術とします。
製品・事業アイデアを出すところまでは一般社員でもできますが、その後の新事業ドメインの設定やコア技術の企画には、ベテラン社員や経営幹部の支援が必要です。専門知識を持った外部のコンサルタントを入れるものよいでしょう。
ボトムアップアプローチのメリットは、最前線で活躍する社員の意見を取り入れることで、社員の巻き込みができることです。企画された新事業ドメインやコア技術は社員にとって身近に感じられるでしょう。デメリットとしては、新事業ドメインやコア技術の企画には高度な知識・判断が必要となるため、途中で進行が難しくなる可能性が挙げられます。

③トップダウン&ボトムアップアプローチのコア技術企画
トップダウンとボトムアップ両方の良さを採用したアプローチです。
マクロトレンドの変化を基にエコシステム・ビジネスモデル、バリューチェーン、顧客経験価値、競合などの変化を分析し、中長期の経営・事業の戦略ビジョンをつくるところまではトップダウンアプローチで実施します。次に、それを技術開発、新製品・新事業開発、既存事業の最前線で活躍する選抜社員から成るプロジェクトチームに伝え、そこで製品・事業のアイデアを出し、経営トップと対話しながら新事業ドメイン案を企画してもらいます。
新事業ドメイン案は経営トップ、選抜社員チームの両者で議論します。そこで決まった新事業ドメインに対し、選抜社員チームでコア技術を企画します。もしくは研究開発部門や経営企画部門内の技術戦略企画チームがコア技術を企画してもよいでしょう。