ニューチャーネットワークス

数値では測れない、自分自身の目標・ビジョンを持とう

年始のご挨拶が遅くなりましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

政治・金融の不安定さの中で、AI前提の産業・社会へ

2026年の世界は、強い不確実性の中で幕を開けました。米国によるベネズエラ空爆や、イランでの反政府デモ拡大と強硬な弾圧は、大国間の力の均衡が揺らいでいることを象徴しています。金融面でも、利下げの是非が市場を左右し、中央銀行の判断は一段と難しさを増しています。

こうした緊張と制約が重なる環境の中で、生成AI、とりわけAIエージェントの普及が、産業と社会の構造を大きく変え始めています。AIは単なる業務支援ツールではなく、自律的に判断し、計画し、実行し、改善する存在へと進化しています。製造、金融、医療、物流、サービス業では、AIエージェントが業務プロセスの中核を担い、人は戦略立案や創造的な仕事により多くの時間を使うようになります。

その結果、競争力の差は「AIを使っているか」ではなく、「AIを前提に組織やビジネスモデルを再設計できているか」で決まります。生産性や成長力の格差は、企業間だけでなく、国家間でも拡大していく可能性があります。

制御不能な社会になりつつある恐怖

政治、金融、経済の不安定さが続く中で、生成AIへの期待が高まる一方、格差拡大への不安も強まっています。比較的経験を重ねた私自身でさえ不安を感じるのですから、これから社会の中心となる若い世代が抱く不安は、さらに大きいのではないでしょうか。

その背景には、社会や産業の変化が相互に連動し、しかもそのスピードが人の認識を超えているという問題があります。

生成AIの急速な普及は、その変化の連動とスピードをさらに加速させています。政治も経済も金融も、社会全体が「制御不能」に近づいているのではないかという恐怖を感じます。

果たして経済・生産性一辺倒でよいのか

米国のトランプ大統領を表す言葉としては、「ディール」が象徴的だと思います。経済や産業だけでなく、政治や社会福祉までもが金融化され、数値や条件で短期間に取引される世界を象徴する言葉です。

しかし、経済や生産性は、人や社会のごく一面にすぎません。仕事や労働そのものにも価値があり、感謝の気持ちや働く満足感は、数値では測れません。音楽、文学、絵画などのアートは人の情緒を豊かにし、地域の文化や伝統、自然環境はかけがえのない人類の財産です。こうした「経済や生産性に換算しにくいもの」を軽視して、幸せな社会を築くことはできません。

生成AIが本格活用される2026年に考えるべきこと

技術の進展や先進企業、研究機関の動向を見る限り、2026年は生成AIが本格的にビジネスモデルを変え始める年になるでしょう。重要なのは、技術やインフラだけではありません。私は、生成AIの健全な発展の鍵は「Human In The Loop(HITL)」にあると考えています。

HITLとは、AIの判断や自動処理の過程に人が関与し、確認・修正・最終判断を行う考え方です。人が適切に関与することで、精度や安全性、倫理性が確保され、AIと人が補完し合う関係が生まれます。実際、人が関与することで、AIとの協働はより創造的なものになります。

生成AIは対話型で使いやすく、すでにメールやSNSのような存在になりつつあります。だからこそ、次の3つがより重要になります。

  1. 倫理・哲学を考え続けること

倫理は「何が正しく、何が望ましいか」を考える指針であり、哲学は人間や世界の本質を問い続ける思索です。どちらにも終わりはなく、誰もが考え続ける必要があります。

  1. 身体性を重視すること

身体を通じて感じ、考え、行動することで生まれる感覚や共感は、生成AIには代替できません。スポーツ、芸術、料理、旅行などは、人ならではの価値です。

  1. 人の育成・教育を重視すること

人に対してヒト・モノ・カネを投資し、育つ環境をつくることが重要です。教育に即時の見返りはありませんが、人は環境によって大きく成長し、それが健全な社会を支えます。教育は経済価値を超えた社会の基盤です。

KPIなどの数値では測れない、自分自身の目標・ビジョンを持とう 

最後に、新年の良さは、心を改めて挑戦する気持ちをつくりやすい点にあります。そこで、次のようなことを皆さんに呼びかけたいと思います。私はすでに実践し始めています。

  1. 本当にやりたいことを目標・ビジョンに掲げる
  1. 他人の評価ではなく、自分の評価基準で決め、行動する
  1. 根拠のない自信を持つこと

以上、2026年の新年にあたって、少し遅いご挨拶と年頭の所感でした。
最後に、今年が皆さまにとって「本当にやりたいこと」を目標・ビジョンとして達成できる一年になることを、心より祈念いたします。

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