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技術マーケティング戦略とは②

顧客経験価値を創造し続けるマーケティング戦略

経営・事業戦略を企画構想する上では、顧客を起点とした戦略フレームワークである「マーケティング戦略」が欠かせません。そのマーケティング戦略もまた、変化・変動を前提としたものに変わってきています。

過去のマーケティング戦略は、製品・サービスの普及、そのための市場参入、顧客獲得を主な目的としており、企業から顧客へのプッシュ型プロモーション、つまり一方通行の情報伝達が中心でした。従って、企業と顧客の関係は閉鎖的で、競合はじめ他社をできるだけ排除しようとする力が働くものでした。

それに対して、現代における優れたマーケティングとは、企業ブランドあるいは製品カテゴリーブランドおよびパーパスを顧客と共有し、独自の顧客経験価値を創造することを主眼とします。コミュニケーションの方法も一方的でなく双方向の対話型とし、顧客との継続的な関係構築を目指します。さらには、顧客経験価値を創造し続けるために様々なパートナー企業との連携も重視します。

■常に増殖し生成・変化する技術

マーケティング戦略において顧客経験価値を創造し続けることが求められるのと同様に、技術もかつてよりはるかに速いスピードで増殖・生成・変化しています。これには情報化、つまりインターネットの普及が大きく影響しています。最近では生成AIがあらゆる分野に浸透しつつあり、技術の増殖・生成・変化のスピードはさらに加速化するでしょう。

生成AIの影響で、これまでの業界・専門分野の垣根を越えた新たな技術が創造され、その結果、まったく新しい製品・サービスが次々と生まれていくと予想されます。

このような状況は、どちらかといえばITをベースにしたスタートアップのような身軽な企業にとっては有利に働きますが、製造業をはじめとする大きな設備投資が必要な既存産業にとっては不利となります。だからこそ日本の多くの製造企業に今、戦略転換が求められているのです。従来の発想のままビジネスをしていては通用しなくなるからです。

発想転換のヒントは、戦略の重点を「固定的な製造設備への投資」から「常に変化可能な技術の開発」に移すこと、そして「その技術を経営に活用する」ことにあります。例えば、他社が模倣困難な技術を開発し、その技術を生かして製品設計、製造、マーケティング、販売などいずれかのプロセスに特化したバリューチェーンやビジネスモデルを構築し、事業を展開するなどが考えられます。

技術主導の企業におけるAIを活用した新たなビジネスモデルの出現

技術そのものが常に生成・変化するという点において、生成AIの浸透は、技術主導型の企業にかなり大きなインパクトを与えると考えなければなりません。例えば現在、新素材を開発・製造している企業が、近い将来その開発・製造技術やノウハウを生かして、他社製品も含めた電子商取引(EC)サイトと加工製造シミュレーションサービスを提供する企業に変容(トランスフォーメーション)することもあり得ます。

実際に、化学品業界のKnowde(ノード)は、独自の業界特化型AIおよびデータプラットフォームを開発して世界中の化学品のマーケットプレイスを運営しており、BASFやDuPont(デュポン)、Unilever(ユニリーバ)、P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)などの大手企業も参加しています。これは、化学品の開発・製造技術と、AIという情報技術とを融合させて、これまでにないビジネスカテゴリーを生み出した例といえます。

興味深いのは、AIの進化が高性能ハード開発を進め、それによってさらに高性能AIの開発が可能になるという自己強化ループが起きている点です。この現象は、他の製造業にも同様に起こると考えなければなりません。つまり、設計・製造の高速化をはじめ、製品選択・評価などバリューチェーン、ビジネスモデルのすべての段階でAIが活用され、その中で新たな事業領域が生まれ、産業のエコシステム自体が大きく変化する可能性が高いのです。皆さんの事業・業界ではどのようなことが起こりうるか、検討してみてください。

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