技術マーケティング戦略とは③
■モノ(製品・サービス)を対象としたマーケティング戦略のままでよいか
今日、顧客は製品・サービスそのものだけではなく、使用前から使用中、使用後までの継続した顧客経験価値を重視するようになっています。同時に、製品・サービスも生成AIなどの技術革新の影響を受けて常に生成・変化しています。例えば、スマートフォンやPCのOSやアプリは、ユーザーが気付かないうちにアップグレードされています。それにより顧客経験価値が進化し、さらには産業や社会も進化しているのです。
そんな環境下でのマーケティング戦略は、従来通り製品・サービスだけを対象としたままでよいのでしょうか。
顧客経験価値が常に進化する状況にあっては、従来の製品・サービス対象のマーティング戦略に固執することは危険です。なぜなら顧客は、目の前の製品・サービスの価値だけでなく、企業の独自能力から生まれる将来の技術、それによって創造され続ける新たな価値に期待するようになっているからです。
製品・サービスは、現時点で企業が提供する価値の一つの形態に過ぎません。いまや顧客の意識は、製品・サービスの根源にある技術力に基づいた将来の顧客対応力=技術ブランドに向くようになっているのです。
従って、これからのマーケティング戦略は、現在の製品・サービスを生み出している根源にある「技術」を対象とすべきです。自社の技術がいかに新たな顧客経験価値を生み、さらには産業・社会全体に対する革新的価値を創造できるかを訴求する、つまり「技術マーケティング戦略」の重要性が増していると言えます。
スマートフォンなどの通信機器、自動車、家電といった技術主導企業のBtoCビジネスにおいて、技術マーケティング戦略のウエイトが高まっていることは容易に想像できるでしょう。しかし、技術マーケティング戦略がより重要な意味を持つのは、実はBtoBビジネスのほうです。
情報システム、ビルや工場などの建築物、電力・ガスなどのユーティリティ、生産設備、原材料、素材、機器、部品などのBtoBビジネスにおいては、一回だけの取引で終わることを想定した顧客はほとんどいません。顧客はメンテナンスサポートを含む購入後のサービス、さらには新しい製品・サービスによる継続的なソリューション提供など、購入したモノの根源にある「技術」に基づいた、将来の対応力を期待しているはずです。従って、現在の製品・サービスの性能だけでなく、自社の誇る技術力そのものを顧客に理解してもらう必要性があるのです。
果たして皆さんの会社はどうでしょう。顧客が理解できる形で自社の技術を訴求できているでしょうか。「現在の製品・サービスの性能ですら十分な説明ができていない」とすれば、かなり危機的な状況だと思われます。