技術者の顧客コミュニケーションと提案活動

顧客理解は技術者自らの現場観察から始まる

■技術者が顧客の営み全体を理解する実践的な方法

技術者が顧客と密度の高い共創を行なうために、顧客の営み全体をより深く知る実践的な方法を3つお伝えしましょう。これらはすべて、技術者自らが体験することを中心としています。

ここでいう「体験」とは、技術者としての専門知識・スキルを使った客観的な分析のみならず、同時に発生する、数字や言葉になりにくい主観的な認識をも含みます。主観的な認識とはつまり、顧客の思いや悩みを感覚・感情レベルでも捉えるということです。それこそが顧客への共感を生む要素だからです。思いや悩みへの共感を専門知識・スキルで論理的に整理することで初めて、客観的な解決策につながるのです。

■現場観察

現場観察とは、技術者が顧客の現場に出向き、仕事の実態観察や対話を通して顧客を深く理解することにより、問題・課題の解決策や顧客の発展可能性を探る方法です。技術者としての専門知識・スキルで客観的に顧客の現場の問題・課題を分析し、その解決策を考えます。

現場で解決できない問題・課題に関しては、顧客の心情的な面も含めて深く理解かつ共感することで、顧客との関係を深め、課題解決のモチベーションを高めます。共感もモチベーションも観察者である技術者の主観的認識です。

現場観察には十分な準備が必要です。具体的には、顧客現場の環境や作業プロセスなどを十分に理解しておくことです。また、現場観察は1人の技術者で行なうのではなく、専門分野が異なる複数の技術者が参加する方がよいでしょう。多角的に現場を見ることができるので、問題・課題解決に向けてより良いアイデアを出せる可能性が高まるからです。

技術者が仮説と専門知識を持って顧客の現場に入り、観察と対話から問題を言語化・データ化する流れを示した図

現場観察

現場観察にあたっては、IE(Industrial Engineering)や各種のプロセス分析手法などを活用することも効果的です。したがって、技術開発部門だけでなく、生産・品質管理の部門からも現場観察チームに入ってもらうとたいへん良いでしょう。

現場を観察して得られた内容は、IE分析、プロセス分析などの手法によって分析し、問題・課題の所在を把握して、その解決に自社の技術マーケティング戦略仮説を生かすことができないか検討します。その結果は、技術マーケティング戦略仮説で解決できない部分も含めて顧客現場にフィードバックし、直接役立てていただくほか、さらにコミュニケーションを深めるために活用します。

IEなどの手法で顧客プロセスを分析して組織間にまたがる問題を特定し、改善につなげる手順を整理した図

各種プロセス分析

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