技術者の顧客コミュニケーションと提案活動

顧客提案は3段階に分け、初めから全部は見せない

■提案は3段階で行なう

技術マーケティング戦略仮説に基づく顧客提案の目的は、あくまで仮説検証です。もちろん最終的に製品・サービスの取引につなげるのが理想ですが、この段階での提案は、仮説検証のためのコミュニケーションと明確に位置付けましょう。

そこで、提案は顧客の状況を見ながら、おおよそ3段階に分けて実施することを推奨します。簡単に言えば、仮説として企画した内容を初めから全部は見せないということです。それには3つの理由があります。

一つ目は、技術マーケティング戦略仮説には大事なアイデアやコンセプト、技術情報が含まれているため、機密情報管理に注意すべきだからです。二つ目は、相手との関係性の構築という観点から、1回ではなく複数回の面談機会をつくるのがベターという理由によります。ここでは3回を推奨していますが、たいがいの人は3回会えば親しくなるでしょう。

三つ目の理由は、複数の顧客に並行して提案し、その都度相手の反応を見ながら関係性強化の優先順を判断したいためです。一度に一気に提案してしまい、顧客提案の優先順位を見誤ってはいけません。

■3段階の顧客提案とは

第1段階:顧客経験価値と製品・サービス、コア技術の検証

まず、顧客の営み全体を理解し、背景となる問題・課題を把握するため、顧客の困りごと(ペイン)や、戦略実現のための具体的な課題をヒアリングします。

次に、技術マーケティング戦略仮説の中で自社が想定する顧客経験価値が正しいかどうか、顧客の想定する顧客経験価値とのギャップがどれぐらいあるかをヒアリングします。

さらに、自社の製品・サービスの仮説を提示し、それが顧客の求めるものに適合しているかどうか、もし適合せずギャップがあれば、どこにどれぐらいあるかを確認します。

■顧客の営み全体の理解のための主なヒアリング項目(BtoBの場合)
・事業環境、経営・事業課題、トップマネジメントの戦略
・顧客の製品・サービス、ブランド、マーケティングなどにおける問題・課題
・業務プロセス、バリューチェーン(必要に応じてエコシステム・ビジネスモデル)の問題・課題
・人・組織、技術、設備など経営基盤面での問題・課題

■顧客経験価値に関する主なヒアリング項目(BtoBの場合)
・顧客の利用シーン、場面
・顧客の戦略の実現イメージ
・顧客ビジネスの製品・サービスの理想イメージ
・顧客のプロセス、バリューチェーンの理想イメージ
・顧客の人・組織、技術、設備など経営基盤面の理想イメージ
・顧客の直接コストイメージ
・顧客の間接コストイメージ

■自社提案の製品・サービスとコア技術に関する主なヒアリング項目(BtoBの場合)
・顧客の戦略面・財務面でのベネフィット
・顧客ビジネスの製品・サービスに対するベネフィット
・顧客のプロセス、バリューチェーンにおけるベネフィット
・顧客の人・組織、技術、設備など経営基盤面のベネフィット
・提案した製品・サービスの機能的ベネフィット
・顧客の直接コスト
・顧客の間接コスト
・製品・サービス機能のエビデンスとしての技術に対する要求レベル

■その他(BtoBの場合)
・顧客の組織体制
・意思決定のメカニズム
・そのほか提案する製品・サービスの導入時期、タイミング

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