■技術マーケティング戦略とはどのようなものか
技術マーケティング戦略の導入は、企業や組織にとって大きなパラダイムシフトとなります。従来の製品・サービスを中心としたマーケティング戦略の発想・考え方を変えることができるかどうかが問われるからです。
これまで見てきたとおり、技術マーケティング戦略とは、単にモノ(製品・サービス)の価値を顧客に認知してもらうための活動ではなく、顧客経験価値、さらには社会・産業全体の革新的価値を創造する活動です。それはまた、顧客やエコシステム・ビジネスモデルの中に存在するパートナー企業・組織からのフィードバックによって、自社の技術が新たに生成・変化していくプロセスでもあります。
従って、技術マーケティング戦略は、製品・サービスではなく自社技術そのものの将来の可能性を対象とし、それが顧客経験価値および社会・産業に対する革新的価値を生み出す「期待感」を「ブランド」として訴求することが必要です。

技術で顧客経験価値と革新的価値を創発する

従来のマーケティング戦略と技術マーケティング戦略の違い
これまでの話をまとめると、技術マーケティング戦略は、①顧客経験価値と革新的価値の創造、②新たな関係性の創発、③フィードバックによる新たな技術の生成・変化、という3つのコンセプトに整理できます。
この3つに共通するのは、「変化・変動」です。ビジネスを取り巻く環境の変化・変動に対応するだけでなく、企業・組織が自ら変化・変動できるかどうかが問われます。だからこそ、固定された「モノ(製品・サービス)」ではなく常に変化しやすい「技術」という知識・知恵をマーケティングの対象とするのです。

技術マーケティング戦略とは
■技術マーケティング戦略で重要なビジネスモデル
技術マーケティング戦略でもっとも重要なのは、ビジネスモデルです。もちろんコア技術戦略や顧客経験価値戦略も重要ですが、それらは顧客や他社を取り込んだビジネスの仕組み、つまりビジネスモデルが前提となります。なぜならビジネスモデルが確立していれば、顧客やパートナーから重要な情報やノウハウのフィードバックを受けることができ、ビジネス全体が短時間に発展する可能性があるからです。
ビジネスモデルの重要な要素とは以下の5つです。
①自社のコア技術の定義が明確で、世界ナンバーワンである、またはその可能性があること
②コア技術に対して、顧客や最終受益者からの情報・ノウハウのフィードバックループがあること
③コア技術が顧客や最終受益者の経験価値を飛躍的に拡大・変革すること
④自社の技術プラットフォームに参加協力する有力パートナーが増加し、ビジネスモデルやエコシステムのイノベーションを加速化すること
⑤顧客や自社のパートナーから製品・サービス料だけでなくライセンスフィーなどの複数の収益源があること

技術マーケティング戦略のビジネスモデルとは