■製品・サービス仮説
技術マーケティング戦略における製品・サービス仮説は、従来の製品・サービスの概念とは少し異なります。製品・サービスという「モノ」だけでなく、そこにプラットフォームという概念を組み込む必要がありますし、また、他社とコラボする場合はその他社製品・サービスを、さらに提供形態や販売方法、ユーザーインタフェースまで取り込んで検討しなければなりません。これらはすべて、顧客経験価値を創造するために必要な要素であり、同時にエコシステム・ビジネスモデル戦略を意識したものとなっています。
製品・サービス仮説を立てる際、検討すべきは以下の10項目です。
①ターゲット顧客の属性・特徴
・BtoCの場合、年齢、職業、年収、価値観、行動特性、購買特性など
・BtoBの場合、業種、売上規模、従業員数、技術特性、販売特性など
②顧客の状況、シーン、ニーズ
・顧客の置かれた社会的経済的環境
・製品・サービスの使用場面とそこで想定される顧客ニーズ
③基本機能
・製品・サービスに欠かせない中心的な機能
・顧客が選択する際に検討する中心的な機能、スペック
④付加機能
・基本機能のように必ず必要ではないが、あるとより便利な機能
・オプションとして選択される可能性があるもの
⑤製品・サービスプラットフォーム
・顧客やコラボする他社製品・サービスが連携しやすい仕組み、基盤
・設計仕様・方法、インターフェース、設計・利用ソフトなど
⑥提供形態、販売方法、ユーザーインタフェース
・製品・サービスの顧客への提供形態(ハードかソフトか、リースかサブスクか、など)
・店舗販売、特注、ネット販売など販売場所および方法
・顧客接点の仕様(例:スマートフォン用アプリの仕様)
⑦コラボする他社製品・サービス
・自社製品・サービスプラットフォーム上での他社製品・サービスとのコラボレーションしやすさ
・他社製品・サービスが自社製品・サービスを拡販してくれる可能性の追求
⑧価格、顧客の負担するコスト
・自社に支払われる製品・サービスの価格
・自社製品・サービス導入にあたって顧客が費やす労力など、顧客が負担するすべての間接コスト
⑨顧客経験価値
・顧客が得る経験価値=ベネフィット/コスト
・BtoCのベネフィットはシュミット教授の経験価値モジュールのベネフィット(前回参照)
・BtoBのベネフィットは機能、プロセス、経営理念、戦略上のベネフィット
⑩製品・サービスの基本コンセプト
・製品・サービスの特徴を一言で示すキャッチコピー
・製品・サービスの最大の訴求点

製品・サービス仮説
もっとも、仮説段階でこの10項目すべてを構想することは難しいでしょう。その場合は、①顧客の特性、②顧客の状況、シーン、ニーズ、③基本機能、および⑨顧客経験価値について最低限の大まかな方針が出ていれば構いません。ただし、エコシステム・ビジネスモデルが重要となるテーマの場合は、仮説の段階であっても、⑤製品・サービスのプラットフォーム、⑥提供形態、販売方法、ユーザーインタフェース、⑦コラボ他社製品・サービスの構想は必須です。
製品・サービス仮説のチェックリスト
・狙うべき顧客が明確で市場拡大の可能性はあるか
・顧客の状況、シーンが明確で、そこでのニーズが明確か
・基本機能は独自の要素を持つコア技術が核となり、顧客のニーズを満たすものか
・付加機能は差別化の重要な要素になっていて、基本機能との区分が明確か
・基本機能と付加機能のバランスが的確か
・製品・サービスは顧客経験価値を実現させるための中核になっているか
・基本コンセプトは製品・サービスのブランドを表すものか
・エコシステム・ビジネスモデル戦略が重要な場合、製品・サービスプラットフォームや提供形態、販売方法、ユーザーインタフェースは想定できているか
・コラボ他社製品・サービスが想定できているか